コスト削減のカンどころ(3)- 広告宣伝費削減のカンどころ
2022/07/08
税理士法人CONFIANCEです。
「損益計算書」から考える「コスト削減のカンどころ」を探るお話を書いてきました。第1回ではコスト削減についての考え方、第2回ではコスト作戦の立て方についてのお話でした。
第1回「損益計算書からコスト削減を考える」はこちら
第2回「コスト削減の作戦を立てる」はこちら
今回から各項目について、どのようなコスト削減計画か考えられるかということを探りたいと思います。
「広告宣伝費」削減のカンどころ
今回は「広告宣伝費」のコスト削減計画を考える上でポイントとなることをまとめました。
広告宣伝費について、現状の費用対効果を調査し、適切なターゲット像を設定することで、広告宣伝費の費用対効果の改善とコスト削減を目指します。
「広告宣伝費」の内訳
広告宣伝費とは、テレビやラジオのCM、新聞や雑誌に掲載する広告、カタログやチラシなどの制作や掲載、配布などにかかる費用です。近年では、インターネット上の広告や宣伝用のSNSアカウントの運用など、宣伝方法もさらに増えました。そのため、広告宣伝費の内訳も多岐に広がります。
「広告宣伝費」の目的
広告や宣伝の一番の目的は、自社の商品やサービスを「認知してもらうこと」そして「関心を抱いてもらうこと」です。
しかし、広告宣伝費に投下したコストと稼得した利益の相関関係を測定することは難しく、そのマネジメントには各社とも苦労しています。
「広告宣伝費」の費用対効果を測定しよう
各社が苦労している広告宣伝費用の費用対効果の測定は、難しい課題であってもコストの見直しや削減を計画する上では、避けて通ることはできません。
逆に言えば、広告宣伝費用の費用対効果についてきちんと測定ができれば、そこがコスト削減の大チャンスとなるのです。
では費用対効果を測定する有効な手立ては何でしょうか?2つの例を挙げたいと思います。
顧客へのアンケートの実施
1.
一番取り掛かりやすく、かつ有効な手段は「顧客へのアンケートを実施する」ことでしょう。顧客に対してアンケート等を通じて、自社の商品やサービスをどのように知ったのかリサーチをしてみることが有効です。
実際に自社の商品やサービスを利用する顧客が、どのように自社の商品やサービスにたどり着き、利用するようになったのか。それを理解することが大切です。
雑誌や新聞の広告か、DMやチラシか、インターネット広告や自社ホームページか、はたまた知人や友人からの紹介やSNS上の口コミというパターンも考えられますね。
広告の停止
2.
少し荒療治かもしれませんが、従来の広告宣伝費を思い切って「止めてみる」という選択肢もあります。その結果、本当に売上が減少するかどうかの検証が可能になります。ふたを開けてみれば、案外影響が少なかったという話も少なくありません。
広告を新聞、DM、インターネットなど複数の媒体で出している場合は、一斉に停止するのではなく、ひとつずつ停止しましょう。どの媒体が有効なのかが見えてくると思います。
リサーチの結果から「広告宣伝費」の見直しを
リサーチした結果、結構なコストをかけているにも関わらず効果が乏しいものや、逆にわずかなコストしかかけてないにもかかわらず効果が大きかったものが出てくるかもしれません。会社が「見込んでいた効果」と「実際の効果」のギャップが大きいほど、コストの改善や削減のやりがいがあるということになりますね。
リサーチした結果を基に、広告宣伝費の使い方を見直してみましょう。
「誰」に「何」を販売したいのかを明確に
広告宣伝費を支出するにあたって、そのターゲットを絞り込む必要があります。
「誰」に「何」を販売したいのか、できるだけ具体的に明確にすることが望ましいです。
企業のアンケートには「年代」や「性別」、「職業」などの項目がよくありますが、顧客の実像を掴むためということも理由の一つです。アンケートを実施する際には、どのように商品を知ったのかというルートだけでなく、顧客の実像を掴むための項目も積極的に入れましょう。
ターゲットを具体的に設定する理由
街頭で拡声器を持って道行く人に声をかけている人がいます。「皆さん」と声かけをしている人と、「そこのあなた」と声をかけてくる人では、どちらに足を止めますか?おそらく「そこのあなた」と言われた場合の方が、一度足を止める人が多いのではないでしょうか?
広告が人の目に留まることも同じことです。
幅広い年代をターゲットとした広告は、使用する文言や内容もフラットになりがちです。すると「自分に対して言われていると認識しない」=「興味や関心が惹かれない」広告になりがちです。
年代や性別など細かくターゲットを設定した場合、そのターゲットの心に響く内容を突き詰めて広告を制作します。するとターゲット層に合致する人には、「自分に対して言われていると認識する」=「興味や関心が惹かれる」広告となります。そのため狙った効果を得られる可能性が高くなります。
ターゲットにふさわしい広告媒体の選択を
ターゲットが明確になると、次は広告媒体を決めます。
最近ではインターネットが主流になっています。インターネットは若い世代には有効ですが、中高年層には有効ではありません。
中高年層の中にはスマホを使いこなし、インターネットを駆使される方ももちろんいらっしゃいます。ですが、中高年層の多くは、新聞折り込みや紙媒体のパンフレットなど従来のツールのほうがなじみやすいです。
ターゲットの年代に合わせて、新聞や雑誌のチラシ、DMやパンフレット、インターネット広告などから適切な媒体を選択しましょう。
広告宣伝費の削減計画を立てる
第2回でも述べた通り、コスト削減計画を立てる上では具体的な金額や目標値を設定しましょう。
具体的な金額や目標値を設定せず、単に削減ありきで対応することは避けなければなりません。削減することだけが目的化してしまい、「広告宣伝は利益を稼得する手段である」という広告宣伝費の本質を見失う恐れがあります。
利益につなげるための工夫を継続する中で、効果の乏しい項目を「●●●●円削減する」というスタンスで臨みましょう。
PDCAサイクルで計画をコントロール
企画(Plan)→実行(Do)→効果測定(Check)→改善(Action)を繰り返すことで、実態を把握し修正をかけながら、目標達成を目指します。
Plan=計画
目標を設定し、それを達成するための計画を練る。
目標値は「××費を●●●●円削減する」など具体的な数値を出しましょう。目標達成までの道筋、目標達成の時期、計画の責任者なども決めましょう。
Do=実行
計画に基づいて行動を起こす。
目標に対する進捗や数値を記録しましょう。また実行して発生した課題や問題点も記録しましょう。
Check=効果測定・評価
計画通りに進んでいるか、目標に対する進捗度を評価する。
具体的な数値を用いて、目標値へ計画通りに進んでいない場合は失敗要因をしっかり分析しましょう。目標通りに進んでいる場合も、成功している理由を分析することが大切です。
Action=改善
効果測定で明らかになった分析結果を見て、今後どのような行動・対策を行うか考える。
初期の計画をそのまま継続して行うか、改善すべき点や中止すべきものを判断します。できるだけ多くの選択肢を考えたうえで、最も実現性の高いものを選択しましょう。
PDCAサイクルを正しく繰り返すことによって、自ずと無駄な広告費は淘汰されていきます。効果が高く必要なものだけが継続されることになればベストです。
まとめ
広告宣伝費は、自社の商品やサービスを「認知して関心を抱いてもらう」そして「顧客になってもらう」ことを目的に、CMやチラシ、パンフレットなどに使う費用です。
顧客にアンケートを行うなどして、広告宣伝費の費用対効果と自社の顧客の実像を正しく把握しましょう。
広告宣伝費の改善・削減計画を立てる上で、広告のターゲット像を明確に設定しましょう。ターゲット像に適した広告媒体を選択することが大切です。
広告宣伝費のコスト削減計画は、削減することだけが目的にならないように注意が必要です。利益につなげるための工夫を継続する中で、効果の乏しい項目を「●●●●円削減する」というスタンスで臨みましょう。
またPDCAサイクルを行うことで、コスト削減計画の精度を高め、効果が高く必要なものだけが継続されることを目指しましょう。
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